第187章 〜後日談〜Halloweenイタズラ〜副部長×三成様
小悪魔に膝枕される神父。
周りから見たら、不思議な光景にはなるが、至って本人達は違和感を感じない。
静かで、
穏やかな時間が流れていた。
「今日の格好は真逆だけど、案外似た者同士よね?私達?」
「え??似た者同士ですか?」
副部長は前を向いたままコクコク頷く。自分は家康に振られて、三成はひまりにハッキリとではないが、振られたのも同然。
振った者同士がくっ付き、自分達はその二人に振られた者同士。
「そうですね。ある意味似ているかも、しれません」
三成はあの大会後から、割にすんなりとひまりの事は諦めていた。と言うよりも、弓乃と同じ。憧れの方が強かったのだと、後で気づいたのだ。
家康に対する嫉妬も、そこから来ていた。憧れていたのは、二人の存在。
ひまりが持つ純粋な笑顔の憧れ。
その笑顔を引き出せる家康への憧れ。
芝生の上に置いた、ミネラルウォーターを手で転がしながら、ふと手を止める。
「……でもね。初恋は、三成くんだったのよ?」
「え??」
その言葉に、三成はただ驚く。
以前、夏休みの合宿で弓乃達と話した初恋話。
(塾で一緒だったの覚えてない?あの頃から、ぼっーとしてたからね。三成くん)
また今度教える。副部長はそう約束して、ふと三成の胸に乗った聖書を手に取ると、中をピラッと開けた。
「ん?コレ結婚式の誓いの言葉?」
「みたいです。良かったら読んでみて下さい。悪を追い払えるかもしれません」
三成はニッコリ笑う。
「悪?私の中の?」
「読んでみたら分かりますよ」
「ん〜〜分かったわ。……汝は健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時もーーーー…愛を誓いますか?」
声出すと恥ずかしいわね。本を閉じながら、副部長が頬を染めた時だった。
三成は軽く身体を起こして
腕を伸ばす……
副部長は突然、後頭部を掴まれ……
グイッ……
下を向いた瞬間。
「誓います」
そっと唇が重なった。
近くを通った小さい子供。
二人を見て目をパチパチさせ、笑う。
「パパ、ママ!悪魔さんと神父さんが仲良ししてるーっ!」
「こ〜らっ。声が大きいぞ」
「邪魔しちゃだめよ」
神父と小悪魔。
この時点で、イタズラは始まっていた?