第6章 9月
秋がやってきた。
私の大好きな秋が。
でも、好きなようで好きでない。
また一つ年をとるから。
「ねえあおさん」
「はい?」
同じソファの上で、ゲームをする和也君と雑誌を読む私。
いつもなら話すことを嫌う和也君が、珍しく話しかけてきた。
「貴女さ、誕生日いつなの?」
「明後日です」
「へー・・・・・って!え?」
「ん?」
和也君の手からゲームが落ちた。
ゴトッという痛い音。
「どうして早く言わないの!」
「だって聞かれなかったし~・・・」
「明後日でしょ?」
「もうそろそろ三十です」
そうじゃない!と怒られた。
察するに、和也君は私の誕生日を祝ってくれるようです!
プレゼントの内容を聞いてくれるか期待したのに
全く気配一つ無し。
なぜか怒られて
「潤くん所行ってくる」
と出てってしまいました。
コロコロ変わる和也君は
本物の小悪魔です。