第5章 8月
「わっ!」
びっくりした和也君。
でも、そっと手を重ねてくれて、
「遅い」と言った。
「綺麗でしょ?ここ」
「はい。とっても」
熟した柿みたいな夕陽が、海に浸かってる。
これぞ、ザ・デートって感じです。
「さて」
夕陽にかっこよく照らされた和也君が背筋を伸ばした。
「ファッションチェックですよ」
そっと和也君から離れた。
ゆっくり振り向く和也君。
私の前に立つ彼は、後ろの夕陽によって
とてつもなくかっこいいです。
目が合って、驚いた顔の和也君。
「・・・どうですか?」
「・・・・・・」
「え?」
反応無し。
なんで?
もう一度自分の服装を見て、
和也君を見ると、
顔が赤い!
それは、夕陽のせいではなく
私のせいと言ってください。