第4章 7月
「一年に一度なんて・・・一ヶ月に一度なんて・・・」
気づけば涙を流してて、
気づけば言ってはいけないことを言ってた。
こんなこと、和也君を苦しめるだけかもしれない。
「いいから、続けて?」
それでも優しく聞いてくれるから
甘えてしまう。
「わかってるけど・・・毎日会いたいです。何日に一度なんてイヤだ。無茶苦茶だって、わかってるんですけど・・・」
本当は、普通の夫婦みたいに、毎日毎日
一緒にご飯食べて
一緒に眠って
一緒に朝を迎えたい。
叶わないこと。
二宮和也という人と付き合うこと自体すごいんだから
葵は無茶を言ってはいけないのに。
和也君に優しく頭を撫でられ、顔を上げると
優しい目と目が合った。
「ごめんなさいね。悲しい思いさせちゃって」
「ううん。私こそ、変なことを・・・」
「変じゃない」
「じゃあ・・・」
お願いです。
「抱き締めてくれませんか?」
こんなこと、いつもは自分から言わないけど。
恥ずかしいけど。
お願いです。