第11章 2月
わかりませんよ。わかりません。
私はバレンタインデーのお菓子を作りたいんです。
お菓子を!
でも、初めてなのに・・・というかこの年で初めてって悲しいんですけども、初めてなのにバレンティヌスが撲殺された日なんて、そんなこと言わないで~って感じですよ。
「どうしよう。チョコレートって板チョコ?でも、それをどうしたら?マフィンとかならいいのかな。そもそも和也君って何が好きなんですかーっ!」
「そうですね~(笑)」
「なんですか?・・・って!えー!」
「フフフ」
いつの間にか後ろでにやにやしている和也君。
ちゃっかりコーヒーを飲んでますけど。
「見ないでくださいよ!」
「バリバリ独り言聞いてたのに?」
「和也君!」
「わかりましたよ」
って、私は中学生ですか。
もう、ダメです。
こんなときチョコレート工場で働いている人って特ですよね~・・・なーんて。
机にうなだれていると向こうからは案の定笑い声が。
でもその小悪魔な笑みとは裏腹に、口からは優しい言葉が。
「あおさんの手作りなら何でも食べれちゃうけど?」
「料理出来るんだから大丈夫ですよ」
がんばらないとって思いますよね、そりゃあ。