第3章 Rey1
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小鳥遊事務所の事務員(研修)になって3日が経った。
そんな私はと言うと…「出来る限り女の子らしく」と妙な注文をされてしまっている。
「Reyくんは僕の奥の手だから、知られない様にだけ注意して」と釘を刺された。
Reyと言うのは私の芸名らしく、別人として行動してほしいという感じだ。
小さい事務所なのだから、隠す必要もないんだろう。そう思っていたのに…
スタッフが誰もいないのかと疑っていたけど、誰もいないというのは間違いで、社長以外にあと1人しかいなかった。
大神万理さん。お兄さんみたいな事務員さんだ。
お陰で普段履く事もなかったスカートを履かずにはいられなかった。
「音無さん、いよいよですよ」
『あ、例の…ですか?』
「うん。レッスン室に待機させてるから見にいこうか」
万理さんについて行く様にレッスン室へと向かう。
扉の前まで行くと話し声が聞こえる。
万理さんがドアを二度ノックすると話し声が止んだ。
「みんな揃ってるね」
そこにいたのは7人と…女の子?
年齢はバラバラみたいだけど。
「お前さんが新入りの事務員さん?」
『…ぁ、はい』
眼鏡をかけた人が私を探る様に見ていた。
おそらくこの人が最年長だと思う。
「ちょっとおっさん!この子警戒してるだろ!」
「おっさん言うな!」
オレンジの子は私より年下かな。
高校生くらいの子が何人かいるみたい。
「oh…ミステリアスで素敵な女性…」
外国人だかハーフだかわからない黄色い人にいきなり手を握られ…正直困った。
スカートだからだと思うけど"女性"と言われるのが新鮮すぎる。
『えっと…』
そう言いながら万理さんに助けを求める。
この中で話せるの万理さんしかいないし…。
なんだか不安になってきた。
そんな私の身も知らないでニコニコしてるのは気のせいかな…。
「自己紹介まだでしたね。私はIDOLiSH7のマネージャーの小鳥遊紡です。貴方と同じ新人ですけどね」
『小鳥遊…?』
小鳥遊プロダクション
社長が小鳥遊音晴
つまりこの子は…社長令嬢?
「お父さん何も話していないんですね」
『そんなところです…』
「私のことは好きに呼んでくださいね。年齢も近いので」
「マネージャー、そろそろ」
割り込む様に入ってきたのは落ち着いた感じの子。
見た目よりも大人。そんな感じがした。