第81章 森の中
気取った声がした。私達は、すぐに振り返る。すぐ傍に、ドラコが一人で立っていた。平然とした様子で、木に腕組みしながら寄り掛かっている。木のあいだからキャンプ場の様子をずっと眺めていたようだ。
私は、ハリーの陰に隠れて見えていないだろう。私はハリーに隠れてそっと覗く。ロンはドラコに向かって話し掛けたが、そんな言葉はモリーさんの前ではロンは決して口にしないだろうという感じだった。
「言葉に気をつけるんだな。ウィーズリー。君たち、急いで逃げたほうがいいんじゃないのかい?その女が見つかったら困るんじゃないのか?」
ドラコの薄青い目がギラリと光る。ドラコは、ハーマイオニーのほうを顎でしゃくった。ちょうどそのとき、爆弾の破裂するような音がキャンプ場から聴こえ、緑色の閃光が、一瞬周囲の木々を照らした。
「それ、どういう意味?」
ハーマイオニーが挑戦的に言う。
「グレンジャー、連中はマグルを狙ってる。空中で下着を見せびらかしたいかい?それだったら、ここにいればいい...連中はこっちへ向かっている。みんなでさんざん笑ってあげるよ」
私は不快感に眉を顰めた。
「ハーマイオニーは、魔女だ」
凄んだハリー。
「勝手にそう思っていればいい。ポッター。連中が穢れた血を見つけられないとでも思うなら、そこにじっとしていればいい」
ドラコは、意地悪くニヤリと笑った。
「口を慎め!」
「気にしないで、ロン」
私が叫ぼうとする前に、叫んだロン。ドラコの方に一歩踏み出したロンの腕を押さえながら、ハーマイオニーが短く言う。森の向こう側で、これまでよりずっと大きな爆発音がした。まわりにいた数人が悲鳴を上げる。
「臆病な連中だねえ?君たちの父親が、みんな隠れているようにって言ったんだろう?いったい何を考えているのかな...マグルたちを助け出すつもりかな?」
含み笑いをしたドラコが気だるそうな言い方でそう言った。
「そっちこそ、君の親はどこにいるんだ?あそこに、仮面をつけているんじゃないのか?」
そう言ったハリーは、熱くなっている。ドラコは、ハリーのほうに顔を向けた。笑ったままだ。
「さあ...そうだとしても、僕が君に教えてあげるわけはないだろう、ポッター?」
「さあ、行きましょうよ。さあ、他の人たちを探しましょう」
嫌なヤツという目付きでドラコをみたハーマイオニー。