第3章 浅葱色の哀愁
「堀川に集めてもらった史料なんだけどね、実はこれ、次の出陣に関するものなんだ」
「え…?」
「清光と一緒に、出陣するのはどう?
こういうのは言葉より戦う様を見てもらう方がいいんじゃない?
みんな刀なんだし」
「出陣ですか…そうか、その手がありましたね
…ぜひ出陣させてください!」
先程までの憂いはなくなり張り切った様子の堀川
仲間を集めるのも大変なこの本丸で、清光の記憶を取り戻すのを手伝ってくれる刀がいることは本当に幸運なことだ
何か私にも出来ることはないか…私もこの仲間の力になることができたら…
「なんだ、出陣の話か?」
「出陣…? 僕も行けるよ
そこに敵がいるのなら……」
縁側にいたはずの二人がいつの間にか部屋に戻ってきている
今回の戦場なら、短刀も必要だろうとは思うけど…
「ん、どうした大将
俺の顔に何かついてるか?」
「ううん
薬研、さっきの頼みのついでに、私も少し頼みがあるんだけどいいかな」
「おう、任せな
俺に出来ることなら何でも」
「主さん、僕も主さんに頼みがあります___」
「堀川……?」
新たな出陣を前に、少しずつ変わっていこうとする本丸
それに呼応するように、草木も夏に向けて青々とその色を変えている