第2章 始まりの場所
「私は・・・」
『・・・・・・』
「覚えてないけど、多分、前世に誰かを救ったのも、救えたのも、ただその人を助けたいと思って助けて、運よく助けられただけで・・・。全ての人間を助けれる程、貴女に素晴らしいって褒められる程の力が有るとは思えません。・・・でも、誰かの役に立てるなら、誰かに必要とされてるなら、人類が滅亡した時、迷ってしまう魂が居るなら、その人達の力になりたい・・・。堕落しない自信はあるけど、貴女の期待に全て応えられるか分からない。・・・それでも天使になって、いいですか? 私、天使になって、役立ちたいです」
言い切った瞬間、足元の亀がモゾりと動いて、私はバランスを崩した。
落ちそうになって空を掻いた私の手を、女性が両手でつかんだ。
『・・・・・・天使になる道を選びますか?』
「もし、なれるなら。さっきの話で、貴女が力不足だと思うなら、潔く転生の道を選びます」
『どちらの選択でも、後悔しませんか?』
「しません」
ジッと女性を見つめる。
女性もジッと私を見つめて、そして・・・。
『では、今日この日、この瞬間をもって、貴女を天使に任命します』
願わくば、貴女が終わりの無い幸福を創造できますように。
瞬間、目を開けていられない程の強烈な光が私の中から溢れ出し、私の意識は、その光に飲み込まれ、消えた。