第7章 陸
多軌「ねぇ、沙也香ちゃん! 今日、お爺ちゃんの妖怪に関する道具の整理をするの。夏目くんと田沼くんにも来てもらうんだけど、手伝ってくれないかな?」
「うん、もちろんだよ! 誘ってくれてありがとう!」
多軌「良かったぁ! 久しぶりに4人で、妖怪についてのお話とかできたらいいね。怖いことも確かにあるけど、でも……」
「うん……ニャンコ先生を見ていると、嫌いになんてなれないし、夏目くんから聞く話からも、悪い人たちばかりじゃないのはわかるから……」
多軌「ふふ、人じゃないけどね!」
「あ、そうだね……なんて数えるんだろう……?」
多軌「うーん、一頭、二頭? 一体、二体?」
「後で夏目くんと先生に聞いてみようね!」
あの日からしばらく経って、私は多軌ちゃんにも田沼くんにも話を聞いてみた。2人とも、やっぱり怖い目にあってて、私だけじゃないんだなって思ったら、だいぶ気持ちが楽になった。
こうして、妖について知ってるもの同士、一緒にいるようになってから、多軌ちゃんとも田沼くんとも、夏目くんとも前より仲良くなれた気がする。
どんなことでも、共通の話題があると、いいよね。
田沼「おーい、多軌、小野! 早く帰ろーぜ
!」
田沼「あ、田沼くん!」
多軌「いこっか!」
「うん!」
妖怪が怖くなくなったわけじゃ無い。寧ろ、首を絞められたあの時の感覚はよく覚えていて怖い。だけど……
「私だけじゃないから」
多軌ちゃんだって、田沼くんだって、夏目くんだって怖い思いしてる。私だけじゃないもの。一緒にいてくれて、話を聞いてくれるみんながいる。
だから私は、ある意味、妖に反応できる力があって良かったなって思うんだ。