第19章 穏やかな日
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ。当分は仕事で来られんけど……元気でな……つか、お前ら俺のこと嫌いだろう」
政府の人を門まで送ると当然のごとく鶴丸さんと長谷部もついてきたのだが……私でもわかるくらい敵視の目を政府の人に向けている。
悪い人ではないはずなんだけど……二人には二人の思うことがあるのだろうな。
「わからんことあったら同じ審神者と会うことがあれば聞いたらいいわ。ほんじゃ、強く生きろよ」
頭をポンポンと撫でてくれて笑ってくれる(顔見えないけど)。
この人には感謝している。
審神者に選んでくれたこと、私の知らないことをたくさん教えて与えてくれた。
親よりも親らしいこと、友達のように私のそばにいてたくさん励ましたり元気付けたりしてくれた人……
「ありがとうございました……」
「……そんな泣きそうな声でいうなや。心が揺さぶられるわ……幸せ、なれたらええなぁ」
「っ……な、なに」
私を抱き寄せてむぎゅっと抱き締めてきた彼に私は驚いた。
ハグなんて何度もしたのに……でも、なんだか寒気を感じる。
長谷部「貴様!主に何をするんだっ……腐ったらどうしてくれる!」
「わぅ……」
「腐るかボケ!俺の娘、泣かせたら許さんからなー」
長谷部に引っ張られて引き剥がされたが、ドキドキよりも寒気。
恐怖とは違う。
でも……変な感じ。
鶴丸「……なぁ、きみ。彼には気を付けた方がいいと思うぞ」
「ど、どうして……?」
鶴丸「きみとは親しいようだが、俺には裏があるように見えてな……」
去っていった政府の人は既に姿さえも見えないくらい遠くにいってしまったようだ。
裏があるように……恩人を信じたいけど信じさせてくれない。
それがあの人なんだよね……