第5章 繋がる線。
屋上では柵の向こう側に慶介。
柵の手前では由香里と吉原さんが居た。
「慶介!!!!」
私がそう叫ぶと慶介は笑顔でこっちを見た。
「やぁ、結衣。久しぶりだね。」
「結衣!慶介さんを止めてよぉぉぉ!止めてよぉぉぉ!」
由香里が私にしがみついて泣きながら言った。
「由香里ちゃん…落ち着いて…」
吉原さんも涙ぐみながら由香里を私から引き剥がした。
「慶介!やめてよ!何してるの!?」
私は慶介に近寄ろうとした。
「来るなっ!!!それ以上近づくと落ちるぞ。」
慶介がそう叫んだので私は歩みを止めた。
「慶介!なんでこんな事っ…」
「結衣。そう言いながら君は心のどこかで安心しているんだろ?俺が怖いから。」
慶介は涙ぐみながらそう言った。
「…え?」
「俺じゃないんだ…。俺じゃないんだ。信じてくれよ…。結衣。」
慶介は涙を流しそう言った。
「信じるからっ!信じるから…こっちに戻って来てよ。」
私はその場にヘタリと座り込み、
そう言った。
「結衣の嘘つき。君の目はまだ…俺を疑っている。…あの時のミクのように…だから、俺は死を持って証明するんだ。俺じゃなかったって。」
慶介は笑った。
そこからはすべてがゆっくりと
コマ送りのように
世界が動いた。