第1章 【雑賀孫市】雑賀の郷の夏祭り
お互いの熱を分かち合い交換するように
孫市は千草と深く絡んでいく。
緩急のついた律動が
千草の華奢な身体を急き立てていった。
「…ぁ…っ……あ……んんっ……はぁっ……」
甘やかな声に、余裕がなくなっていく。
「……っ…千草……っ」
こらえきれずに名前を呼んでしまう。
千草が、涙の滲む瞳をうっすら開けてこちらを見上げる。
熱を帯びたその瞳と視線が絡んだ瞬間、孫市の口からは自然と言葉が漏れてしまった。
「……千草……好きだ…」
「………っ!」
「お前が……好きだ……たまらなく……」
「……孫市さ……ぁ…っ」
思いを口にしながら律動を止めない孫市に、すがるようにして千草が名を呼ぶ。
「孫…市さ………私も…好き……ぁ……んんっ」
「千草っ……」
「好き…です……全部、好き………っ」
(くそ……もう手加減できねぇ)
律動は更に速度を増し、肌と肌がぶつかり合う音が部屋に響く。
蜜壺から溢れる卑猥な水音は更に大きくなり、互いが溶け合い境目を失っていく。
「はあぁ……っっ!!あ……っ…も……だめ…です……っ」
「……くっ…………千草……っ!」
のぼりつめる欲はお互い同じ速度だった。
熱くなった千草の蜜壺は猛った孫市をぐっと締め付ける。
その瞬間
白い欲が一気に溢れ出し、千草の蜜と絡まり流れていった。
*****千草目線*****
祭りの喧騒がおさまり、穏やかな夜が訪れる。
孫市の屋敷にも、部下や使用人たちが戻ってきたのか、人の気配がし始めて来た。
(お祭り……もう終わったのかな…)
襦袢の上から浴衣を羽織っただけだった千草は、少しだけ身体を緊張させ衿元に手を添えた。
「大丈夫だ、ここは人払いしてある……のんびりくつろいでろ」
「…ぁ……っ」
縁側に腰掛ける千草に、後ろから孫市が包み込むように抱きしめた。
頭に乗せられた孫市の顎が、くすぐったい。
(いつも見上げていただけの孫市さんが…こんな近くに……)
そう思いかけて、つい先程までの情事を思い出し千草は顔を赤らめる。