第15章 月の王子様とワタシ
その後、眼鏡くんは
なにも言わずに出て行った。
「大丈夫か……?」
後ろでシクシクと、
静かに泣いているヒカリに声を掛ける。
俺はヒカリが落ち着くまで
その場で待ってやった。
暫くして
落ち着いたのか
ヒカリがこちらを向いた。
「てつろ……ごめん……」
「なんでお前が謝んだよ? 怖い思いも辛い思いも俺がさせた、だろ? 悪かったな……」
そう言って頭をポンポンとしてやると
再び鼻を啜り出すヒカリ。
「おいおい、お前はどんだけ泣き虫なんだよ……?」
「だってぇ……」
「はいはい! わかったよ!」
俺はそのままヒカリをぎゅっと抱きしめた。
「お前が安心するまでこうしててやっから、好きなだけ泣け!」
「てつろ……ふっ……ふえぇぇーーん!!」
子どもが泣くみたいに
大きな声を出して泣くヒカリの背中は
いつもより小さく感じた。