第18章 大丈夫
「・・・悪いとは思ったんだがな・・・お前の様子がおかしかったから、みんな心配してたんだ」
「心配・・・」
・・・そうか、みんな私のことを心配しててくれたんだ。
「・・・俺は恋愛のことはよくわからないが・・・お前は頑張ってると思う・・・」
「遙先輩・・・」
「あの時・・・部室で泣いてた後も・・・お前は俺達の前で笑顔を見せていた・・・みんな・・・真琴も渚も怜も・・・俺も・・・お前は頑張ってる・・・そう思ってるから・・・」
「・・・」
遙先輩の言葉のひとつひとつが私の胸に響いてくる。言葉は短くたどたどしいけれど、だからこそ遙先輩の優しさを感じる。
「ありがとうございます・・・遙先輩。あの、私・・・まだ大丈夫ではないですけど・・・大丈夫ですから」
矛盾したことを言っていると思う。でも本当にそうだったから。まだつらい気持ちはあるけれど、大丈夫って思えたから。
「・・・そうか」
私がそう言うと、遙先輩は小さくだけど笑ってくれた。私もそんな遙先輩に笑い返す。
「さあ、鯖食べに行きましょう!私、全種類制覇しますから!」
「・・・フッ、お前ならできそうだな」
「何言ってるんですか、遙先輩も鯖好きなら全制覇しないと!」
「ああ、そうだな」
苦しさはまだ消えない。だけど先輩達がくれた優しさを胸に、私は遙先輩の隣を歩いた。