第7章 いつもと違う帰り道とやっと気付いた気持ち
満員電車からやっと解放されて、私は家の近くの駅についた。まだ宗介さんとくっついていたかったような、ホッとしたようななんか変な気持ち・・・
「あの、もうここで平気です。すぐだし」
「いい。家の前まで送る。どっちだ?」
「こ、こっちです」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
家までの道を宗介さんと歩く。辺りは暗くて誰も歩いていない。しんと静まり返った中を二人、並んで歩く。
歩き出してから宗介さんは何も話さない。元々おしゃべりな人ではないだろうし、仕方ないんだけど・・・とても気まずい。
私も何かしゃべろうとしても話題が出てこない。今日あったこととか、全部全部心の中でごちゃまぜになってしまって、うまく話をすることができない。私、宗介さんと今までどんな風に話してたんだろう?
そうしてるうちに、なんか話せよ、とか、黙ってんなよバカ、とか宗介さんに思われてるんじゃないかという思いが頭を巡りだして、もう軽くパニックだ。家が駅から近くて本当にこの時はよかったと思った。
「あ、あの!家、ここです!」
「おう、そっか」
「・・・あ、あの・・・送ってくれてありがとうございました・・・あ、あと・・・映画の時と、電車でも・・・その・・・ありがとうございました」
心の底からホッとしながら、それでも今日のお礼はちゃんと宗介さんに伝えた。だって、本当に嬉しかったから。
「いや、別に・・・あれぐらいどうってことねえし」
「あ、あの、それじゃあ私、失礼します」
「あー・・・おい」
そう言って、私が家に入ろうとした時だった。宗介さんが私のことを呼び止めた。