第1章 最悪の出会い
「いたた・・・って、わああ!」
お尻が痛い、と思ったけど、捲れ上がったスカートを見た途端、痛みなんてどこかへ飛んで行った。
見られてない!見られてないと思う!見られてないと・・・いいな!
「・・・おい。大丈夫か?」
あたふたしている私とは対照的に、低く落ち着いた声が上から降ってくる。
「・・・ほら」
それと一緒に大きな手も私の前に差し出される。
「あ、あの大丈夫です!ひ、一人で立てます!」
そう言って慌てて立ち上がる私。
「そうか。ならいい」
私が立ち上がっても、それでもずっと高いところから聞こえてくる低い声。その声の主を私は改めて見上げてみた。
すごく背が高い。真琴先輩と同じぐらいか、それよりも高いぐらい。
でも優しく穏やかな真琴先輩の瞳とは違って、その人の瞳はまるでこちらを射ぬこうとするかのように鋭い。
「あ、あの・・・」
思わず言葉を失ってしまったけれど、そうだ。プールサイドを走ってしまったのは私なんだから、きちんと謝らないといけない。