第4章 腹の底から
あいつ・・・全然目が合わなかったな。もしかしたらわざと俺の方を見ないようにしていたのかもしれない。まあ、この前散々怒ってたから無理もないかもしれない。
そんなことを考えながら歩いていると、曲がり角からあいつがひょっこりと姿を表した。
「や、山崎宗介っ!!」
「ん?おー・・・いち「いちごじゃありません!」
俺の言葉に被せてきやがった。もうその頬は赤くなりかけていて、思わず小さく笑ってしまった。
「くっ・・・んで、今日はどうした?」
「いえ・・・あの・・・その・・・あ、謝りたくて・・・」
「謝るって何をだ?」
「だからその・・・た、たいしたことない泳ぎ・・・とか言っちゃって・・・・・・あ、あと、プールサイド走っちゃったの私なのに・・・ごめんなさい!!!」
そこまで途切れ途切れに言うと、いちごはブンと音がしそうなほどの勢いで頭を下げてきた。よく見ると、小さな肩が少し震えていた。