第26章 『またな』
・・・容量オーバー。頭がパンクしそうだ。
今日は本当に色々なことがあった。
リレーとか、宗介さんがしてくれた話とか、告白とか、ぎゅってしたりとか、たくさんのキスとか・・・今も繋がれてる手、とか。
私はまるで夢の中を歩いているような気分なのに、隣の宗介さんは、涼しげな・・・というよりも眠たげな、いつもと同じ顔をしている。
私の頬は多分まだ真っ赤だろう。いつか私にも、この宗介さんの頬を真っ赤にできる日が来るんだろうか、なんて考えながら歩く。
・・・歩く、歩く・・・歩いている、つもり・・・なんだけど・・・うん。なんかどんどん会場から遠ざかっていってる気がするのは多分気のせいなんかじゃない。
私がボーッとして宗介さんに引かれるがままに歩いていたのが悪いんだけど、どうしてこうも迷ったりできるんだろう?
「あの、宗介さん!道間違えて・・・」
そう言いかけた私の耳に、遠くから私を呼ぶ声が聞こえてきた。
「おーーい!ヒカリちゃーん!!」
その声は渚先輩を始めとする、岩鳶の先輩方のものだった。
「ああ、よかった。追いついて。なんか変な方向に二人が歩いて行っちゃうのが見えたから、慌てて追いかけてきたんだ」
そう言って、真琴先輩が大きく息を吐く。結構な距離を走らせてしまったみたいで、とても申し訳ない。隣の宗介さんを見上げると、バツが悪そうな顔をしてそっぽを向いていた。
だけど・・・私の手は離さないでずっと握ってくれている。ちょっと恥ずかしいけど・・・やっぱり嬉しい。
「・・・遅くなっちまって悪かった」
「ううん!大丈夫だよ」
宗介さんが謝ると、真琴先輩がにっこりと笑って答える。
「やったね!ヒカリちゃん」
「僕の予想通りです!」
渚先輩と怜先輩はぐっと親指を立てている。この二人は昨日から、私と宗介さんがこうなることがわかっていたんだろうか。
そして、言葉はないけれど、遙先輩も私を見て笑ってくれていた。
たくさん心配をかけてしまった先輩達に『ありがとう』の気持ちを込めて、私もにっこりと笑い返す。