第2章 【気象/山/腐/番組共演】
どうも、(一応)女優です。
芸名葵子、二十代半ばらへん。今日も元気です。
本日は雲の上レベルで芸能界の上の方にいらっしゃる方々の番組に番宣をかねてゲスト出演することになりました。
・・・いや、無理やん?
無理やん???
当方、芸能界の端の端で細々と「コアな映画好きが見るストーリーは良質だけど要所要所低予算で頑張った感がある全国放映なんて絶対されないDVD化も怪しいドマイナー映画」が中心だった私ですよ???
なんであの日本を代表するトップアイドルと共演することに・・・。
あの方々紅白で司会もされてるんですよ?
なんで私ここにいるの??
記念受験したあの映画オーディションから、どうも展開が怒涛であれからけっこう経つのに未だに実感がわかない。ふわっふわしてる。
映画も成功して、知名度がビックリするくらい上がって、エゴサが怖くてできなくなってしばらく。
もうあの転機になった映画は公開も終了し、なんならDVD化して、ありがたいことにその後いただいた他の役もいくつかやっているというのに、まだ地に足がついていない。
明日起きて夢でも驚かない。数年間夢の中ですよ。
高視聴率バラエティとか、まさか自分が出るなんて全く思っていなかった。
そりゃあ番宣がはじめてというわけではない。
けど相手もこちらも少人数というのは初めてだ。
なんか大きめのひな壇に一緒にゲストで呼ばれた主演さんの横や端っこに座って、たまに投げられるパスを落とさないようにしていれば時間が過ぎる番組とは違う。
自らしゃべらなければいけない。
無理・・・ほんと無理・・・つら・・・_(:3」∠)_
近所にある、前を通りがかって見上げるだけだった超高級マンションの住人に急にお呼ばれした庶民の気持ち・・・。
絶対粗相できない・・・心臓が口から飛びそ・・・。
マネージャーと一緒にスタッフさんの分も含めてスタジオに差し入れ持って行って、なおかつお二人の楽屋に挨拶にも行ったけど、そんな話してはいないしさ。
無理。
なんかやらかして明日ネットニュースになってたらどうしよ。
弟に慰めてもらおうかな・・・慰めてくれるかな・・・むしろ笑いながらネット記事を見せてきそうで嫌。
まぁでも最終的に撫でてくれるだろうからいいかな・・・。