第12章 12
「クフフっ」
「和さん、笑ってないで助けてくださいよ」
「え?違うの?」
不思議そうに考えこむ由梨に、放浪してんのよきっと。と追い討ちをかけておく
「やっぱり。撮られないようにね?」
物すごく心配!!の顔を貼り付けて秋ちゃんを見上げる由梨
ちなみに、[放浪]っていうのはフリーなこの男がよく使うから
その時に仲良くなる女の子と会ってたりする事を可愛く言ってるだけ
「まぁなんでもいーや。」
そんな返事もフリーな男だから出来るのよね
「秋さん、お遊びもほんと気をつけて下さいよ。俺兄貴が心配っす」
悠ちゃんが割り込んできてそんな事を言うので
秋ちゃんに似てるとこあるけどそういうところは悠ちゃんの方がまともなのねと観察する
「え、俺今日叱られる感じ?家出犬だと思われてる?」
見つめてくる秋ちゃんをチラッと見てすぐに視線の先をゲームに戻す
「フフッ。秋ちゃん。そしたらそろそろ帰ってこないとね。主人が寂しがってるから」
「え?…そっか。寂しかったのかな」
ボソッとそんな事を言い出す由梨がまた面白くて
「あら?ちゃんと主人って認識してたのね。うちの放浪犬の」
わざとそう言うとピクッと身体を反応させて赤くなる
「か、和さん!!なんで、今仕事中です」
恥ずかしがってデカい秋ちゃんの背後にすっぽり隠れてる
「……絶対今日帰ります!はぁぁ。やっぱ眼福だ」
訳がわかんない秋ちゃんは胸に手を当てて目を閉じてる
「二宮家。さいこーだ。はやく家帰りたい」
幸せを噛み締める顔をして隠れてる由梨を差し出してくる秋ちゃん
「え、もうちょっとだけ隠れさせて?まだ顔熱いの」
両手でパタパタと顔を仰いで必死に熱をさます由梨は俺が完全に家モードの弄りをしたからオフの顔になりつつあって
「フフッ。翔ちゃん以外にバレちゃうよ?」
他の人達は幸い話に夢中でこっちには気付いてない
「うぅ。今頑張って戻します」
何度か深呼吸して落ち着こうとしてる由梨
「二宮さんって……なんか納得っす」
悠ちゃんは何かに気付いたのかそう言って頷いてた
「んじゃ!そろそろ!…和さん!由梨!今日は俺がなんか作ります!」
るんるんで去っていく秋ちゃん+残りのFlowerたち