第11章 11
「ん……冷たい」
ゆっくり目を開けると
視界は真っ暗で
「タオル?」
冷たいタオルが目の上に乗せられていた
「あ、ごめん。やっぱ起きちゃったか」
タオルを少し退けて和さんを見ると
「フフッ。髪すごい」
いつもの何倍もすごい寝癖で
どんな寝方したんですか?と髪を触って直そうとすると
「これ、由梨がやったんだよ?」
「へ?」
「それに。ほら、まだ寝てないし」
まだ日付が変わったばかりで
「由梨は10分くらい寝てたかな?いや、気失ってたって言った方がいいかな?」
ンフフって笑いながら頬を摩られる
「和さんの髪…」
「そう、途中からずっと握ってたから」
「ごめんなさい」
恥ずかしくて和さんが乗せてくれたであろう冷たいタオルで目を覆う
「クフフっ。俺もごめんね?身体へーきそう?」
初めてこんなに何度も求められて
本当に優しくしてくれたけど
いつもよりは激しくて
「大丈夫、です。…嬉しかったから
怒ってくれたことも
全部です」
「そう。…怖がらせたらどうしようって。
由梨逃げ足早いから」
困った様に笑う和さんをちょっと隙間から覗いて
手をギュッと握った
「私、逃げません
和さんとやっぱり一緒がいいです
見てくれますか?」
身体を起こして
電気をつけた
怖くて手が震えるけど
ギュッと和さんの手を握りながら
片方の手で髪を前にして
少し背後を向く
「私
こんなに汚いけど
一緒にいてもいいですか?」