第8章 8
「あ、れ?………和さん。ここって」
また気づいたらってやつの表情を浮かべるからもう笑いが我慢出来ずに吹き出してしまう
「クフフっ。ほんと由梨って」
誘拐されかねないこの人は
何年も前から変わんない
「ほら」
手を差し出すと
今度は迷いなく繋いでくれて
あの時とは違うんだなって
ちょっと嬉しくなったり
連れてきた場所は昔も思わずたどり着いた海
あの時と同じ道を歩いて
あの時座った場所に座ってみた
「あれ、こんなんだったっけ?」
座った先にはちょっと景色が違って壁が立ってて
「砂避けですかね?」
海は全く見えなくて
なんか残念
「あ!和さん!あそこなら見えそうです」
少し行った先に海が見えるように新しくウッドデッキが出来てたから行ってみると
「え、すごい綺麗です!和さん!」
なんかはしゃぎ出す由梨を眺めてる方が面白いから、あー。そうね。と適当な返しをして座る
「あ、タバコ吸ってい?」
「もちろん」
何故か吸ってる姿が好きらしくて
嬉しそうな顔?って言うかボーッと見つめて来るから
「なに?襲われたい?」
ちょっとからかっちゃうのは性分で
「へっ?!…だ、ダメ!」
思いっきり顔を逸らすのでフフッ。と笑いが漏れる
やっぱりわかりやすい
一挙一動思惑通りの由梨はなんだかぶつぶつと、そんな目で見ちゃってたかな。と両手で自分の頬を抑えてる
暗いからわかんないけど多分その頬を赤くしてんだろうなって容易に想像できて
タバコを消して
思いっきり濃厚なキスをした
「ふ、、ん。」
少しして離してあげると
「びっくりしました」
嬉しそうに笑う由梨
「フフッ。喜んでる」
「え?……はい」
なんで分かったの?とはにかむから
ギュッと抱きしめて
本題にでも入ろうかな
「ねぇ、由梨さ……ほんとに幸せ?」
fin