第5章 5
「そ、そんな事してないよ!…多分」
「フフッ。どうだろうね」
和さんも何故かニヤニヤしている
「何で和さんもニヤニヤしてるんですか」
「え?してないしてない」
そう言って片手で口元を隠すので覗き込んだ
「ニヤニヤしてますよ。和さんなんか楽しそう」
「そーね。楽しい。すっごく」
また頭をぽんぽんとするのでなんか心地よくてどうでもよくなってしまいそうになる
「……もしかして。そんな感じでした?」
たいちゃんが和さんに尋ねる
「そうかもね」
はぁぁ。とため息をつくたいちゃんに対して和さんは、フフッ。と笑うだけで
私は言ってる事が全く理解不能だった
そしてたいちゃんの言ってた事はあながち間違いではなくて
「由梨さん。今日終わりにちょっといいっすか?」
帰りに悠くんが話があるみたいでそう誘われた
「おい。光。ちゃんと謝れ」
「……すみません」
突然頭を下げられどうしたら良いかわからなかった
空さんが帰った楽屋で繰り広げられる謝罪を受け止めつつ扉を閉めて鍵をかける
「由梨さん。……もし私に愛想尽かしたならクビにしてくれて構いません」
頭を上げずにそう言う光ちゃん
「え!そんな事ないよ!真面目に働いてくれてるし。それより私何かしちゃったかな?初めてご飯食べに行った時からだよね?」
「………あの。すごく言い辛いのですが」
言い淀む光ちゃん
「……とりあえず出よう!」
長くなりそうな予感を感じとって楽屋から出て適当にお店に入ることにした
「ここなら話しやすいかな?」
個室に案内され飲み物が来た後にそう聞くと