第17章 17
空さんの全国ツアーは終盤に差し掛かっていた頃
何度か家に戻るも見事にすれ違いの様で
和さんとは数ヶ月会えないままでいた
「由梨ー。あんたは寂しくないの?」
新婚であるあいは時々発作かの様に、寂しー!って旦那様に電話してる
そんなあいが可愛くて
私もあれだけ正直に伝える事が出来たらなと思いながらも
やっぱり忙しすぎる和さんの負担になりたくなくて
結局あの一度以来電話はかけられてない
「……でも写真送ってくれるから」
時々送られてくる景色の写真とか、ちょっと映り込んでる写真とか送ってくれて
文章とかないのは多分、私が返事をしなければいけない状況を作らせない様にしてくれる優しさで
「はぁ。そんなんだけで大丈夫なの?それか長年付き合ってるともう気にならなくなるとか?」
「うーん。…そういうわけじゃないけど。結婚する前も結婚してからも私達はかわらないよ」
「え……ずっとそんな熟年夫婦みたいな生活送ってんの?」
「ぶっ!!…熟年夫婦とかぴったりじゃん由梨」
吹き出して爆笑する空さん
でもなんかそれでもいいかとも思ってしまう
それくらい和さんとの緩やかな生活が居心地が良いなって思ってる
ライブツアーが終わると空さんは今度はバラエティに出たりしてそれなりに忙しく
和さんも忙しいみたいで
会えないでいた
「あ、このあとちょっとレコーディング行くんだけど由梨着いてきてよ」
珍しいお誘い
特に予定もなかったけど
今日は早く終わりそうだから家にいれば和さんに会えるかもしれない
うーん。と悩んでると
「いーからいーから。強制ね!」
肩をトンとたたかれて
強制連行された
「今日はねー。お手伝いなんだよね」
差し入れ?らしきものを抱えながらレコーディング室に向かう為にエレベーターに乗り込む
「お手伝い?………ああ!人手が足りないとかですか?だから私も?」
「あー。違う違う!由梨はねー……そうそう!差し入れだから!」
差し入れ?
全然意味がわからなくて
頭を傾げながらエレベーターを出て向かう空さんに着いていく
「へ?!」
「……あれ?」
扉を開けると
そこには和さんがいて