第15章 15
「由梨ー!!会いたかった!!」
ガバッと抱き寄せられてぴょんぴょんジャンプするあい
「一緒に仕事出来るなんて嬉しい!」
今回空さんのライブツアーのプロデュースであいの会社も入ることになり
ツアーを一緒に回るとわかったのは一週間くらい前に涼くんのバーにあいと遊びに行った時だった
「私も嬉しい!」
頭がガクガクなりながらも必死にそう言って
身体を離された時にまたフラフラしてしまう
「おっと。…大丈夫?」
「あ、ありがとうございます」
空さんが上手く支えてくれて倒れるのは免れた
その後あいと空さんは丁寧に挨拶をすませ
「ところで。由梨から聞きました。学生時代のご友人なんですよね?」
「はい!最近久々に再会して」
「そうなんですね。…てことは」
チラとこっちを見てニヤつく空さん
なんか嫌な予感がする
「期間中由梨の学生時代の失敗談。おもしろエピソード。沢山聞けるってわけね」
ニヤニヤがもうニマニマに変わる空さん
「ちょっと。空さん?」
「だって!俺の仕事だからさ。ちゃんとにのくんに情報提供しなきゃなんないんだから」
頼まれたのよ。と続ける空さんに熱くなる顔
「か、和さんから?」
「そう。由梨のだーいじな旦那様から」
昨日飲んだんだよー。と嬉しそうに去っていく空さんに、はあ。とため息をつく
「なんで由梨の周りの男って。そんなのしかいないのよ」
中々に失礼な気がするけど
「和さんたら。聞いて何があるのかな。普段と何も変わらないのに」
「…………由梨も由梨だよね」
「え?なにが?」
「……はぁ。なんでもない。…まぁ、愛されてんじゃない?好きな人の若かりし頃を知りたいってことにしといたら?」
そんな言葉に思わず、フフ。と笑ってしまう
私もお母さんとお姉さんに和さんの小さい頃の写真見せてもらったから
ちょっと気持ちはわからないでもない
その時の気持ちを思い出して
ちょっと心が暖かくなった気がした