第13章 一緒に帰ろう。
対音駒戦は、何度かやったけれど、すべて負けだった。
さすが、因縁の相手ともあって、とても強い。
「強いと思う」
孤爪さんのあの時の一言は、嘘じゃなかったと証明された。
時は流れて、
5月中旬、インターハイ予選の組み合わせが発表された。
勝ってほしい、頑張ってほしい。
そんな思いでいっぱいだった。
ある日の部活帰りだった。
「あ、楠‼帰りに大地が肉まんおごってくれるっていうんだけど…それと、その後二人で帰りたいなーなんて…。」
付き合っているとはいえど、まだ二人で帰ったことがなかった。
だって、なんか…恥ずかしくて。
あと、家の方向も違うし。
だから、菅原先輩から誘ってくれたのかもしれない。
けど…
「すみません…。ちょっと、しばらく用事があって。」
「夏蓮ちゃん、行こう。ごめん、菅原。夏蓮ちゃん借りるね。」
「お先に失礼します!」
「えっ…あ…。」
断りを入れて、私は潔子先輩の後についていった。
だって、どうしても帰れない用事があるから。