第12章 嫉妬。
孤爪Side
「俺の彼女に何の用ですか?」
そういってきたのは、烏野の…確か、セッター。
攻略したい、なんて言ってたのに、もう敗れてしまった。
嫉妬なんてものはない。けど、悔しい気持ちはある。
先に行ってますね、と夏蓮は先に行って、取り残された俺とクロ。
「研磨、失恋だな。」
「別に…失恋ではない。」
「じゃぁ攻略失敗、か?」
「まだ、攻略の余地はある。」
あきれ顔のクロをよそに、夏蓮の小さくなった後ろ姿を見つめていた。
好きになったわけじゃない。
でも、もしもお互い恋に落ちることができたなら、ずっと一緒にいる覚悟はできていた。
きっと、彼女の隣は落ち着くから。
あのセッターならば、まだ勝てる気がするから、
まだ、ゲームオーバーじゃない。