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ほたる。

第11章 一つの選択。


夏蓮Side

その日の夜、飲み物を買おうと部屋を出ると、そこには烏養さんと菅原先輩の姿があった。
何か、深刻そうなその表情に私は物陰に隠れた。

「俺たち三年には、来年がないです。…だから、一つでも多く勝ちたいです。次へ進む切符が欲しいです。」

「迷わず、影山を選ぶべきです。」

「三年生なのに可哀そうって思われても、試合に出られるチャンスが増えるなら何でもいい。」

一つ一つの菅原先輩の言葉が胸に響いた。
本当に本気なんだと思った。
今、やっと私の中の歯車がぴったりはまったような気がした。

「お前らが勝ちに進むために俺にできることは全部やろう。」

そして、烏養さんの言葉に、私も気合を入れた。
私も、本気でサポートをしたい。

「気合い入れんぞ。一回でも多く勝つ。」

「おう。」

「ひっ…‼」

集中しすぎていたいつの間にか隣に澤村先輩と旭先輩がいた。

「驚かせてすまん。俺たちはもう戻るから、菅原のところに行ってやってくれ。」

苦笑いの澤村先輩に言われ、私は菅原先輩のもとへといった。

「先輩…。」

「うぁ‼もしかして…聞いてた?」

ぽりぽりとほほを掻きながら苦笑いの菅原先輩。
恥ずかしいんだろうけど、私は、さっきの先輩がすごくかっこよかった。

「はい。先輩の熱意、すごくかっこよかったです。菅原先輩の最後の一年を、私に…菅原先輩の一番近くでサポートさせていただけませんか…?」

「……ん?」

「だめ、ですか…?」

三年生には後はないと言っていた。
後悔してほしくない。
私が支えていくことで、バレーに集中してほしい。
…先輩の隣で、その勇姿を見たい。
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