第9章 日曜日の急接近。
夏蓮Side
及川さんに肩を組まれたことは嫌じゃなかった。
でも、菅原先輩の辛そうな顔は嫌いだった。
「ちょっ…、楠?」
私に手を引かれて、驚いている菅原先輩を、通り道に会った公園へ連れて行った。
ベンチに座ると、流れる沈黙。
連れてきたのはいいけど、何を話したらいいのか…。
「あの、さ。」
沈黙を破ったのは、菅原先輩だった。
菅原先輩を見ると、視線は地面を見ていた。
「なんか、ありがとな。」
「いえ。…みんな、楽しいほうが良いですから。」
そして、ぽつりぽつりと、話し始める。
「俺、嫌だったんだ。楠が及川と一緒に、遊んでるのが。大地と一緒に部活の買い出しに行こうとしてたら…。及川と二人で遊園地に入ってくのが見えて。」
「それであそこにいたんですか…。」
「ストーカーみたいな事したくなかったんだ!!けど、体が言うこと聞かなかった。もちろん、ずっと追いかけてみてたわけじゃない。だけど…」
また流れる沈黙。
きっと、菅原先輩も葛藤していたんだと思う。
私たちの後をつけたい思いと、あとをつけてはいけないという思い。