第4章 翌、土曜日。
夏蓮side
「ぅあっ…!!」
こっちを見向きもせずにジャージを投げ飛ばした月島くん。飛んできたジャージを、ヨタヨタしながらもキャッチした。
私がここにいるって、気づいてた、のか?
…にしても。
あんなにひどいことばかり言ってたくせに。
カッコいいじゃん。
ーピピーッ
セットカウント2-0で、勝者は日向くん、影山くんチームだった。
日向くん、影山くんに‘お疲れ様’と声をかけたあと、
息を切らしながら、また眉間にシワを寄せている月島くんに近寄っていった。
「お疲れ様。あの時は…ごめんなさい」
月島くんのジャージを胸にぎゅっと抱えて、頭を下げた。
蛍「あの時は、僕も、まぁ悪かっ……」
最後の方は声が小さくて聞き取りにくかったけど、それが月島くんの表現なんだろうな、と思うとちょっと笑えた。
蛍「それより、それ、そんなに大事?ふーん。君って実は僕のことす「ちがうから!」」
蛍「知ってるー。」
ニヤニヤからかってくる月島くんの言葉を遮って否定した。
謝るときは声小さかったくせに!
イジワルだけは、相変わらずだ。
私は、月島くんをぐっと押すようにジャージを返した。
好きとか!そんなんじゃないし!
「けど、………」
蛍「ん?何?」
‘かっこよかった。’
ドリンクを一口飲んでこちらを向いた月島くんに、ボソッと呟いた言葉は聞こえなかった。
首をかしげる月島くん。
今はそれでいいかな。また今度聞かせてあげる。
「ちゃんと、マジだったじゃん!」
そのかわり、私なりの最高の!0円スマイルをおいておいた。