第2章 土曜日の試合。
一組から順番に教室を除いてみると、
4組に楠さんはいた。
机に向かって、渋い表情をしていた。
そんな顔さえも、愛しい。
呼吸を整えて、教室へ足を踏み入れた。
菅「お!いたいた。」
「あっ、えーっと………」
菅「菅原、だよ。休憩中だから抜けてきた!」
「なにか、ありましたか??」
首をかしげて聞く彼女になんていったらいいのかわからない。
来たはいいけど、うまく言えそうにない…
菅「楠はさ、入部で悩んでる?」
「はい…。中途半端なきもちのまま入部なんて迷惑かけるだけだし…」
あぁ!なるほど!
入りたいけど、迷惑かけるって思っちゃうのか!
菅「俺たちは確かに全国を目指してる。本気だ。でも、まだ月島も山口も、その気持ちは薄いんじゃないかな。入りたてで全国優勝!って、掲げるのなんて難しいよ。」
そう。全国に行きたいのは本気だ。
けど、新しいこと初めてドキドキしてるときにトップを目指す!って本気で目指すことって、難しいと思うんだ。
ほら、全国に行きたいなー程度のふわふわした気持ちは誰にでももてるし、最初からそれを目指してきた人もいるけどさ。
つまり、
「きっかけなんて、なんでもいい…」
と、俺が言いたいことを先にいってくれたわけですが。
なかなか頭の回転がいいらしい。
菅「そう!それ!つまり、新しいことやってみて、少しずつ俺らと同じ目標を持てればいいんだべ??」
「…はいっ!」
決めてくれたとわかっても、
心配な俺は彼女の手の動きをじっと見ていた。
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入部届
男子バレーボール 顧問殿
1年4組 楠夏蓮
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菅「よーし!大地のところ、行くぞ。」
「はい!」
たった一枚の紙が、今後の俺のモチベーションをあげていく。
必ず勝つ。
バレーも、恋も。