第23章 おまけ。
菅原Side
「さわむらぁぁあああ」
「ひなたぁぁあああ」
だーだー涙を流して襖をあけて澤村を呼ぶ。
同じくだーだー涙を流して日向を呼ぶのは谷地さんだ。
なんとなく、察しがついた。
うぉっ、ってみんながひいた顔をしていた中、澤村は腰を上げて「いくか、」と告げた。
日向も谷地さんの背中を撫で、俺の背を澤村と旭が支え、影山と山口が懐中電灯を持ち、さっき遊んだ近くの川へと向かった。
「消しますよー。」
山口の声と共に消される懐中電灯の光。
真っ暗だったけど、少しずつ、ぽつ、ぽつと黄緑色の光が灯り始めた。
数分後には、お互いの表情くらいはわかるほど、たくさんの蛍が舞っている。
「うまく、いったのかな…、」
呟いた谷地さんの声は、おそらく俺にしか聞こえてないだろう。
だから俺も、小さな声でつぶやいた。
「いい笑顔が見れるといいよな。」
なんて切ないほたるなんだろう。
今日のメインのほたるが、こんなに切ない思い出になるとは思わなかったけど、
それもまた、青春かな…、なんて柄にもなく思った。
本当に、夏蓮のことが好きでした―…