第18章 恋する気持ち。
―夏蓮Side
その日の放課後、練習が始まる前に日向くんと谷地さんがハイタッチしているところを見た。
…日向くん、相変わらずすごいなぁ…。すぐに誰とでも仲良くなれるんだから。
「谷地さん!もう仲良くなれたんだね。」
「おっ、おかげさまで…‼」
まだ緊張しているのか、笑顔は浮かべているものの体が固まっていた。
私も、日向くんを見習わないと!!
「やっ…、谷地さん!私も、谷地さんと仲良くなりたいし…、仁花って呼んでもいいかな…?」
「えっ…?あっ…、もちろん!!」
「よかった!私のことも、夏蓮でいいからね!」
「うん!!」
私の申し出に驚いた表情を見せた谷地さ…、仁花だったけど、すぐに柔らかい笑顔を見せてくれた。
少しは、緊張もほどけたかな…?
今日の仁花は、練習の見学。
いろいろな場面を見て、驚いている様子だった。
そんな仁花に潔子先輩と近づいていった。
「すごい迫力です!!」
「うちの攻撃力は県内でもトップクラスだと思うよ。」
「うへー」
潔子先輩との会話に驚く仁花に、さらに説明を足していった。
だって、今年の一年生は並ではないもの!
「1年生メンバーもすごいんだよ!日向くんだって、すごい高さまで飛ぶし、影山くんは天才だし、山口くんは頑張り屋さんだし、蛍は、ブロック上手だし!」
「そうなんだ…!!!」
「うおおおおお…!潔子さんがしゃべっとる…!笑っとる…!お口動いとる…!」
「おい、龍!楠だって輝いて見えるぞ…!!」
「本当だ…‼のやっさああん…!」
3人で話をしていると、刺さる二つの視線。
あれがガールズトークかぁ、なんてふわふわした田中先輩と西谷先輩がコーチに喝入れられたのは言うまでもなかった。
「…でもね、ここ数年は“落ちた強豪、飛べない烏”なんて呼ばれてたみたい。」
「今度こそ行くんだ。全国の舞台…」
私と潔子先輩は、強い思いを胸に、練習する彼らを見つめた。
仁花はすごいなぁ、なんてつぶやいてた。