第17章 恋をしてしまったから。
ー夏蓮side
翌日、昼休みに日向くんと影山くんがやって来た。
「…部活前後だけって話だったよね。」
「だって、英語の吉田先生いなかったんだもんよ~」
「営業時間に出直してくださーい。」
どうやら、蛍に勉強を教えてもらいに来たらしいけど、蛍には教える気はないらしく…
ヘッドフォンをしてしまった。
日向くんはケチ島!と叫んでいたけれど…
私も今回はちょっと否定できなくて苦笑いを浮かべた。
「あっ!楠!ちょっと教えてくれない?」
「教えてあげたいのは山々なんだけど…先生にさっきの授業のノート届けなきゃいけなくて。そう言えば、谷地さんも5組だから、勉強得意なんじゃないかな?」
「あっ!そっか!行ってくる!」
「うん、またね!」
用事のあった私は、谷地さんを紹介した。
私が教えてあげられれば良かったんだけどね。
私は、教卓の上に重ねられた全員分のノートを持ち、教室をでた。
「手伝う。」
教室を出てすぐに、蛍が追いかけてきてくれたようで、ただ必要な言葉だけを言ってノートを半分持ってくれた。
ケチ島なはずなのに…ね。
「勉強は教えないのに、手伝ってくれるんだ?」
「別に。あいつらに勉強教えるのは面倒なだけ。ノート運び手伝うくらいならすぐ終わるデショ。」
「なに、それ。」
ふっと笑って蛍を見上げた。
なんて、なんて綺麗な顔をしているんだろう。
菅原先輩とは、また違う。
菅原先輩は可愛らしい。
かっこよさにも、種類ってあるんだなぁ。