第16章 土曜日の勉強会。
―夏蓮Side
押し倒されても、怖いとは思わなかった。
蛍が、なんだかちょっと切なそうな顔をしていたから。
私、ただ、蛍に可愛いと思われたかった。
菅原さんと付き合ってはいるけれど、男の子に可愛いと思われたいのは、女の性というものではないだろうか…。
それに、蛍は友達だし、そんなことするとは、思わなかった。考えてもいなかった。
私も、悪かったなぁ。
「蛍、ごめんね。私、確かに無防備だったよね。あのさ、午後は、図書館とかで勉強しない?」
「いいんじゃない。」
私なりの提案。
それを蛍は飲んでくれたので、荷物をすべてまとめてから蛍の家を出た。
図書館だと教えるにも話ができないから、ということで、蛍の知っている喫茶店に行くことになった。
それからは、何事もなかったかのように17時まで勉強をして解散した。