第19章 ヨコハマ ギャングスタア パラダヰス 〜2〜
「なんか……鬼魅の悪い処ですね。」
僕は、ボソッと呟く。
すると谷崎さんが何かに気づいた。
「……おかしい。本当に此処なンですか?ええと____」
「この人は、樋口だよ。」
と女の子が言う。
谷崎さんは続ける。
「樋口さん。無法者と云うのは臆病な連中で____大抵、取引場所に逃げ道を用意しておくモノです。でも此処はホラ……」
谷崎さんはさっき僕たちが此処に入ってきた方向をさす。
「捕り方があっちから来たら逃げ場がない。」
そう。僕らが来た道……此処の先は逃げ場のない行き止まりだ。
「失礼とは存じますが、嵌めさせて頂きました。」
樋口さんが髪をくくる。
「その通りだよ。お兄さん。」
樋口さんにユキと呼ばれた女の子は、金髪のカツラをとる。そこから出て来たのは、あの時国木田さんから見せてもらった写真の女の子と同じ色の黒。彼女は、黒雪……。
「「私たちの目的は」」
樋口さんはポケットから携帯を取り出した。
「「貴方がたです。」」
樋口さんは誰かに電話をかける。
「芥川先輩?予定通り捕らえました。これより処分します。」
谷崎さんが呆然として呟く。
「芥川……だって?」
樋口さんは、眼鏡をかけて銃を僕たちに構える。
「我が主の為_________」
『ここで死んでもらうね?お兄さん、お姉さん?』
黒雪の笑みは、黒く殺人鬼に満ちた笑顔であった。
ポートマフィア・樋口は銃を撃つ。