第35章 行方不明
中也は、右手を上げる。
「だが、今や手前は悲しき虜囚。泣けるなァ太宰。」
あ。やっぱり、中也も気づいたんだ。
中也は、続ける。
「否。それを通り越して___少し怪しいぜ。」
中也は、クシャと太宰さんの髪を掴む。
「丁稚の芥川は騙せても俺と黒雪は騙せねえ。」
私は、ふと笑う。
「「私/俺は、太宰さん/手前の元相棒だからね/な」」
私と中也は、問う。
「「何をする積り/だ?」」
中也は、太宰さんから手を離す。
太宰さんは、両手をヒラヒラとさせる。
「何って……見たままだよ。捕まって処刑待ち。」
おかしい。
「“あの”太宰さんが不運と過怠で捕まる筈がないでしょ?」
中也が続ける。
「そんな愚図なら、俺らがとっくに殺してる。」
中也の目は本気だ。