第35章 行方不明
「懐かしいねぇ。君が新人の頃を思い出すよ。」
「貴方と白雪の罪は重い。突然の任務放棄そして失踪。剰え今度は、敵としてマフィアに楯突く。とても___とても元幹部の所業とは思えぬ。」
「そして、君の元上司の所業とは?」
と太宰が聞くと、芥川はその言葉にキレて、太宰の左頬をグーで殴る。
「貴方とて不損不滅ではない。異能に頼らなければ毀傷できる。」
そして、芥川は太宰を見据えて言う。
「その気になれば何時でも殺せる。」
太宰は、不敵に笑う。
「そうかい。偉くなったねえ。」
「……」
太宰は、両手をパアとする。
「今だから云うけど、君の教育には難儀したよ。呑み込みは遅いから白雪ちゃんに助けてもらっても悪いし、独断専行ばかりするし、おまけにあのぽんこつな能力。」
「……!」
芥川は、太宰の言葉に言い返せなく拳を作る。
「貴方の虚勢も後数日だ。数日の内に白雪を捕まえ、探偵社を滅ぼし人虎を奪う。貴方と白雪の処刑はその後だ。自分の組織と部下が滅ぶ報せを切歯扼腕して聞くと良い。」
芥川は、入ってきた入り口に戻ろうとする。
「できるかなあ。君に。私の新しい部下は君なんかよりよっぽど優秀だよ。」
と太宰は、にっこりと笑う。
芥川は、振り返って太宰の頰またグーで殴った。