第29章 ヨコハマ ギャングスタア パラダヰス〜1’〜
なんと優しい方だ!
でもまあ、この人も嵌めないとね。
私は、影で笑う。
樋口さんは、話を進めていく。
その間、私は人虎と私に似た人を見つめていた。
人虎は、私の方に気づいた。なので、子供っぽく笑っておく。
似た人は、何かを考えているようであった。
一体何を考えているんだ?
と思うほどに。
分からなかった。
その時の記憶を失った時のように分からなかった。
話が終わると、私は耳打ちで樋口さんに云う。
「一番めんどいのが、谷崎っていう人たちかな?だから、先に殺す。人虎には当てないようにしてね。」
「分かりました、黒雪さん。」
私は、じーっと樋口さんの方を見ていた。
樋口さんはその目線に気づいた。