第1章 blue
「ほら、私行かなくちゃ」
「…うん、ごめん」
いい加減自分に呆れて
渋々彼女を解放した。
目の前の彼女が眉を下げて
おいらに触れる。
「…待っててくれる?」
「……うん」
うん、ありがとう、
と哀しげに笑う彼女を見て
息が苦しくなった。
周りは呼吸のために必要な
窒素やら酸素やらが溢れてるってのに
なんだこの呼吸が出来なくなる感じ。
なにか毒ガスが混じるような
それは自分から出たものなのか、
はたまた彼女から出たものなのか。
「…ちゃん、」
「ん?」
「いってらっしゃい」
いつものようにふにゃ、と。
何も考えていないように笑って、
今日も1人になった広い部屋で
寂しい、が言えずに苦しみもがく。
END.
足りなかったのは、欲。