第1章 blue
「…しくん、さあとしくん!」
突然呼ばれた声に
目をゆっくり開ける。
「………う、ん」
大丈夫?と笑うのはさっきまで
頭の中にいた彼女。
「…ふふ、顔、絵具ついてるよ」
おいらの頬に人差し指で軽く触れ
その場所を教えてくれる。
「……ゆめ、見てた」
「うん、笑ってたもん」
「…ちゃんのゆめ」
「ふふ、それは嬉しいなあ」
いつもきみは柔らかくて
今の状況も夢の続きなんじゃないかと
思うくらい。
……そうか
夢だったら、
なんにも恥ずかしくねえや。
「……好き、大好き」
そう言ってぼやけた視界で
彼女を見た。
ほらやっぱりきみは
照れたように笑って。
また目を瞑るとまぶたの裏には
同じように微笑む彼女の姿。
おいらの時間にきみがいないことなんて
一秒たりともないんだから。
END.
「智くん、…さ、さとしくーん」
「…………zzz」
「…(手だけは離してくれないかな)」