第1章 blue
「靴下はく?」
「んーん、いい」
「風邪、ひかない?」
「んーん、大丈夫」
んーん、んーんってほんとに聞いてるのかな、
いつものマイペースさに笑ってしまった。
「なあんで笑ったの」
彼の足先がユラユラユラと、器用に動く。
まるでリズムを刻むように、
彼の気分を表すように。
これは上機嫌の合図なのかな。
「ううん、なんにも」
「うーそだ」
ソファーに座る智くん、
床に座る私を後ろから羽交い絞めにし、
急に首筋を噛まれる。
「く、くすぐったいよ」
耳元でふふ、と笑い声が聞こえると、
少しかすれたよな甘い声で
「お返し」
と囁やいて、
ぎゅーっと私を抱きしめる彼の足先が
またユラユラと動き始める。
それはまるで軽やかなワルツを奏でるように。
これは私の幸せのリズム。
END.
「ご飯食べよっか」
「んーん、先にちゃんから」