第5章 purple
「嬉しいけど、
毎回買ってこなくて大丈夫だから、ね?」
と寝ぼけ眼の松本くんを
小さい子を扱うみたいに覗いた。
「……買いたく、なるんだよ」
「…うん、買い物、好きだよね」
と私が笑うと
「違う」と私の手に自分の手を重ねる。
そっと、触れるか触れないかの強さで
いつも強がりの彼が、なんだか甘えるような
その仕草がたまらず
胸を鷲掴みにされたような気分を味わう。
「夜中でも
さんに会える口実が
欲しいだけ」
「お土産」は私に会うための
「おまけ」だと言う彼。
私にとっての「お土産」は
あなたのその、可愛い寝顔
なんて本人には口が裂けても言えません。
(照れて不機嫌になるからね)
END.
「お土産はいらないからいつでもおいで?
(気持ちわかっちゃったから)」
「やだよ、それじゃあ毎回、俺が
さんに会いたくて会いたくて
たまらないみたいじゃん」
「……そ、んなこと思ってるの」
「思ってるよ、悪い?」
「……(松本くんて、実は天然)」