第5章 purple
「あははっ、分際って!ひっどいなあ!」
といつもの笑顔でタレ目の優しい顔が
益々のいい人オーラを倍増させる。
亮介さんは私の直の上司で
かなりお世話になっている……
いや、今では私がお世話してやっている。
主に女性関係を。
「酷いのは妻子ども家に置いて
女騙してるあなただろう!」
「ちゃん格好いー!
正義のヒーローみたいだね!」
なんて無邪気な顔する34歳。
年齢の割りに童顔で若く見える。
その顔立ちとスタイルに恵まれて
私の回りは皆の亮介さんの被害者だ。
「早く千佳ちゃんから手引いて下さい」
「なんでそれちゃんが言うの?」
口を尖らせ不満そうな亮介さん。
バカじゃないか、
そうかバカなのか!
私だって言いたくないし
なんなら関わりたくないわ!
「…なんでって、毎日毎日千佳ちゃん
私に泣きついてくるんですもん!」
こっちは仕事に集中したいんだ!
なんで私が他人の恋愛管理
しなくちゃいけないんだ。
私だって自分の事すら間に合ってないのに!
ってうるさい!
私の中で叫びたくても叫べない
フラストレーションがモヤモヤ溜まっていく。