第4章 yellow
「おっそいよ、和くん、
なんで誕生日の私が一番乗りなのー
大体誘ったのは」
ぶつぶつ笑いながら文句を垂れるきみ。
怒ってるのかじゃれてるのか
一体なんなの。
「はいはい、おめでとう、」
上着を脱ぎながらまるでついで、の様に
言ったセリフ。
「あーもう、気持ちがこもってない
やり直し!入ってくるとこからやり直し!」
「ふふ、嫌だよ、寒い」
「私と寒さと、どっちが大切なの!」
「とりあえず、生」
もー!と笑う彼女。
知ってる、
きみが好き返しも、
きみが好きな食べ物も、
きみが好きな場所も、
きみが好きな映画も香りも
きみが好きな人も。
全部全部知ってるのに
この距離は縮まることはない。
そんなこと
ずっと前から気づいてる。