第1章 blue
あの電話から2時間、料理も出来上がって
こちらの準備は完璧で。
ほっと、一息ついて思い出した。
「……連絡、しなくちゃ」
いくらなんでも
この時間に家にいないのは
おかしい。
ここまできてバレたくない!
私は急いでメールを送った。
するとすぐに着信音が部屋に響く。
「……あれ?智くん、」
仕事終わったのかな?そう思って電話をとると
『……なんで嘘つくの?』
とあからさまに不機嫌な彼。
「え、…う、嘘?」
『家、帰ってないよね?』
その言葉に、ハッとした。
嘘というのはさっき私が送った
「今家につきました。お仕事頑張って!」
このメールのことに違いない。
それにしても…なんでバレたんだろう。
「…えっと、あ、あのね」
『今どこ?』
「あ、えっと、…」
『…誰といるの』
智くんの聞いたことのない声。
「ち、違うよ!誰ともいない!1人!」
『じゃあなんで家にいないの』
「……さ、智くんの家に…いまして…」
『………』
「………」
『え?』
「……嘘ついてごめんなさい」
『……え?』
「さ、ぷらいず…しようと思って…」
『……え?』
「…智くん…今どこ?」
『………言いたくない』
「え!?な、なんで」
『………ふふ、何時からいんの?』
「えっと…2時間前…くらいかな」
『…あーもう…んふふ、それって電話したくらい?』
「あ、えっと、うんそうかも」
『もお…バカみたい俺ら』
「え?何?なんで?どういうこと?」
『オイラ、今ちゃんの家』
ふふふ、と笑った彼が、
「考えること、一緒だね」と嬉しそうに言った。
『待ってて、今から帰る』
その言葉がなんだかくすぐったくて、作った手料理を温めなおして、扉を開けるとすぐに抱き締めてくれるであろう彼の帰りを愛しく想った。
END.
「まさか同じケーキを買ってくるとは」
「ホールケーキって1人1つ食べれるもの?」