第1章 blue
智くんには内緒で彼の好きなショートケーキ(特別にホール)を買って、彼の家に向かっている最中に、ちょうどタイミングよく連絡が入る。
『ちゃん?今どこ?』
「えっと、まだ職場…」
智くんを驚かそうと嘘をついた。
『あ、そっか。いや…オイラもまだ仕事、終わんなくて』
「うん、頑張ってね」
『ちゃんも』
「…じゃあ、」と電話を切ろうとすると
智くんが「あ!」と何かを言いかける。
『家、帰ったら連絡してね』
「え?あ、うん、わかった」
そう言って電話を切った。
珍しい、智くんが連絡して、だなんて。
「……ふふ」
嬉しくて頬の緩むまま
智くんのお家へ向かう私はきっと
スキップしていたに違いない。