第3章 gleen
ピンポーンとチャイムが鳴って
胸が高鳴る。
スリッパが脱げそうになるほど
早足で扉を開けると
パアっ、と笑顔の
今年初めて見る私の彼。
「あけおめちゃん!」
あけおめ、って
うんさすが、彼らしいと
つい笑ってしまう。
「うん、明けましておめでとう、雅紀くん」
「ふふっ、やべえ、正月って
意味もなくテンション上がんね!
ふあー!寒い寒い!」
と両手を擦り合わせ部屋へと入る。
「雅紀くん、暑いだけじゃなくて
寒い時もテンション上がるのね」
「あ、そうかも、
雪とか降ったら血が騒ぐよ」
なんの血だろう、と思ったのは
口にしないでおこう。