第1章 blue
独り言に想いが詰まる。
幸せが目の前にあるのに
こんなこと考えるなんて、
バカみたい。
「…ねえ」
とさっき寝たはずの彼の声に
体がビクッと反応する。
「オイラ、明日も明後日も
ちゃんと一緒なら楽しいよ」
「………」
何も言えなくなる私に
智くんは優しい魔法をかけ始める。
「…そんなこと1人で考えてたの?」
と私の頭に頬を擦り寄せる。
「……い、やあの」
「…オイラね、撮影現場や、ロケ先で、
ちゃんと来たい、とか
ちゃんに食べさせたい、とか
そんなことばっかで、
会えなくても楽しいんだ。」
「………」
「そりゃ触れるほうが嬉しいけど、
会えない時間もオイラの中は、
ちゃんでいっぱいなんだけど
………ふふふ」
急に笑った彼が私の顔を覗き込んで
「自分で言ってて恥ずかしくなったわ」と
暗闇でも顔がわかるくらいの至近距離で
ささやかれる。
「明日はもっと好きにしてあげるから
手、繋いで一緒に寝よう」
フンワリ笑う彼の魔法にかかった私は
さっきねむれなかったのが嘘みたいに
隣でぐっすり眠むれたのです。
END.
「おはよ」
「……おはよ、う…」
「ねえねえ、オイラもう
昨日より好きになっちゃったんだけど
ちゃんは?」
「早すぎるよ智くん」